2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「統合失調症 その新たなる真実」 岡田尊司著(PHP新書、'10.10.29)−統合失調症は克服できる病気か?

このところ読み続けている「抗うつ薬の功罪」(デイヴィッド・ヒーリー著)が、あまりに大部(400頁近くある)であり、内容は実に興味深々で面白いのだが相当手ごわく、しかも精読しているため時間がかかっている。そこで、その合間を縫って読んだ標記の本に…

「精神科医が狂気をつくる」岩波 明著(新潮社、'11.6.15)を読み込む

著者は、東大医学部卒の医学博士。都立松沢病院や東大医学部助教授などを経て、現在は昭和大学病院精神科准教授である。 岩波氏の著作は、「狂気という隣人」(H.16.8)及び「狂気の偽装」(H.18.4)を読んだことがある。いずれも快刀乱麻を断つような小気味…

月刊誌「新潮45」8月号 − 編集の原点回帰を喜ぶ (ついでに「Voice」8月号の記事も瞥見する)

「新潮45」は1985年5月の創刊当初からしばらくの間愛読していて、創刊号から連続した相当数のバックナンバーを大切に保存している。亀井龍夫編集長の下に硬派路線で統一され、当時の私にとって興味深い記事が多く、紙面造りにも他の雑誌にはない斬新さが感じ…

竹森俊平「1997年―世界を変えた金融危機」(朝日新聞出版、'07.10.30)とフランク・ナイトの「不確実性」

著者が、今日の世界経済を理解する鍵という、フランク・ナイトの「不確実性」とは何か。 経済における「不確実性」にはその確率分布を推測できる<リスク>と、それが不可能な<不確実性>があり、前者は<利潤>の要因とはならないが、後者は<利潤>の要因…

「食べない人は病気にならない」 山田豊文著(幻冬舎、'11.7.10) を読んで健康法を考える

幻冬舎は、時代感覚の鋭い出版社である。前回の朝倉慶氏の著作も、今回の山田豊文氏の著作も同社の最近の出版物であり、また、これから読もうと思って机に積んでおいた、「ベイジン」上、下(真山仁作)は幻冬舎文庫である。タイトルの付け方も上手で、みな…

「2012年、日本経済は大崩壊する」 朝倉慶著(幻冬舎、'11.7.10)

この著作が狙っている大きなテーマは、「リーマンショック以降世界中にばらまかれた常軌を逸するマネー」がもたらすインフレ、国債暴落などの世界連鎖危機である。 著者の朝倉慶氏は、船井幸雄氏や副島隆彦氏と同列の裏読みの得意な経済評論家で、やや陰謀史…

小出裕章氏の著書を読んで考える

3.11以来、信頼できる原子力の専門家をネットで捜しまくった。何故なら、大メディアがどうにも信頼が置けないからである。朝日、読売、民放各局はダメ、ただしNHKは事実の確認には参考になった。 最初こそ、これは思っていた専門家たちも次第に馬脚を現わし…

「市塵」藤沢周平の描く新井白石の後半生

藤沢周平の「市塵」上下(講談社文庫)を読んだ。 この本は新井白石の後半生を描いたものである。新井白石については東日本大震災に関連して別のブログ(http://d.hatena.ne.jp/inochinooto/20110328/1301265172)にも書いた。 それにしても藤沢周平の筆には…