2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

時代小説の楽しみ(1) 霊験お初捕物控「震える岩」宮部みゆき(講談社文庫、'97.9.15)−主人公お初の”凛々しい健気さ”が心を打つ

子供の頃から時代小説の虜になって今に至っている。小学校に上がるかどうかの頃、戦時中から戦後しばらくにかけて、本職の表具師の仕事が無くなった父親が臨時に就いた仕事が、県立図書館の児童部門の職員であった。多分親しくしていた県議の紹介ででもあっ…

「古典への道」より<中国古典をいかに読むか>新訂 中国古典選 別巻(朝日新聞社:S.44.04.15)

百目鬼三郎氏の「読書人読むべし」(新潮社)は、前にも書いたように、私の最も信頼するブックガイドであるが、中でも<中国の古典(1)>の章は、他に例を見ない優れた四書五経などの案内として繰り返し読んでいる。 その中で著者は、吉川幸次郎氏の「古典…

「陋巷に在り」(1)〜(5) (酒見賢一著(H.8.4.1 新潮文庫)―謎の孔子像に迫ろうという奇想天外の物語だが、孔子にも迫れず、そもそも長すぎる

安冨歩の「生きるための論語」(ちくま新書:'12.4.10)を読んでいて、ふと酒見賢一の「陋巷に在り」を思い出した。かなり以前に読んだ記憶がある。ただ、最初は非常に面白かったのだが、読み進むうち、次第にオカルト的な側面に辟易して第7巻で読むのを止め…