2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧
この小説を充実感をもって読み終えたが、それにしてもタイトルの「変身の恐怖」という訳語はピンとこない。元のタイトルは"THE TREMOR OF FORGERY"である。TREMORは「恐怖や興奮による震え」、FORGERYは「偽物、偽造行為」という意味である。 これは先ず、主…
パトリシア・ハイスミスは、前回『11の物語』を取り上げたが、続いて最初の長編である本書を読み、再び唸ってしまった。解説(新保博久)によれば、1950年、29歳の時にニューヨークのハーパー社から刊行されたとあるが、ハイスミス怖るべしである。交換殺…
一読して感嘆した。人間の本性に対する洞察力の鋭さ、深さに脱帽。何もなければごく安定してみえる人間のこころ(精神)の何という頼りなさ、脆さ、そして危うさ! この11編の作品に描かれているのは、日常生活や人の理性のぽっかり空いた裂け目から頭をもた…