幾冊かの健康本とB級投資本、そして『老子』

 このところブログの更新が滞っている。もう2ケ月になろうか。古希をとうに過ぎた身で、週に5〜6日をフル勤務しているので、やはり疲れが累積し、 パソコンに向かって文章を書くのは体力的・気力的にも辛い。それでも本を読むことは、他の色々な楽しみを削ぎ落して唯一残った道楽なので、この2ケ月の間も本はランダムに読み散らしてきた。以下に、備忘的に読んだ本を記しておきたい。



 トマス・F・モンテルオーニの『聖なる血』(扶桑社ミステリー、'97.8.30)というオカルト小説を読んだ。それなりに面白く読んだが、読んでいる最中、何故かシュワルツェネッガー主演の『エンド・オブ・デイズ』(1999年)を思い出した。こちらの主人公は悪魔であるが。
 この作品のカギは<トリノの聖骸布>である。似たようなテーマの作品であるダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』では<聖杯伝説>が取り上げられている。
 この期間に読んだ小説はこれだけである。



 Kindle『主食をやめると健康になる』江部康二著(ダイヤモンド社、'12.9.14)と『大往生したけりゃ医療とかかわるな』中村仁一著(幻冬舎平成24年3月)を読み、紙ベースで『小麦は食べるな!』Dr.ウイリアムデイビス著、白澤卓二訳(日本文芸社、'13.7.10)と『食べない人たち』秋山佳胤他著(マキノ出版平成26年7月20日)と健康本を立て続けに読んでみた。


 それぞれ面白かったが、さあどうかな?というのが正直な感じである。それでも著者がそれぞれ真摯であることは一応理解できる。この中では『小麦・・・』にもっとも強い説得力を感じた。小麦を食べないことを少し実践してみている。(バカかな?)
新潮45』9月号で、<大バカの壁>という特集の中で、幕内秀夫が<糖質制限食ダイエットをまだ続けますか>として最近の極端な糖質制限ダイエットが根本的に間違っていると痛烈に批判している。そして、この糖質制限食のブームの顕著な特徴として、「提唱者たちには男性の医師が多く、その実体験に基づいており」と述べているが、最近テレビでよく見かける某医師の顔がすぐに浮かんだ。 



 他には『年収300万円、掃除夫の僕が1億円貯めた方法』www9945著(宝島社、'13.7.10)を読み、『明日ドカンと上る株の見つけ方』熊谷亮著(幻冬舎、'14.7.25)を読みつつある。小生のポートフォリオが芳しくないので、参考までに読んでいる。(困った時の神頼みか?)投資の本としてはまあB級ではあるが、それなりに参考になる。
 それにしても、アベノミクスの行方に警告灯が灯ったようで、今後の展開が全く読めない。



 以上と並行して老子をじっくり味わいつつ読んだ。小川環樹訳注(中公文庫)をベースに、金谷治訳注(講談社学術文庫)、蜂谷邦夫訳注(岩波文庫)及び奥平卓訳(徳間書店「中国の思想4」)を併せ読む。小川訳は最も訳文の格調が高く捨てがたいが、やや意味の取りにくいところがあり、その点、金谷訳は老子の意図を深く読み込みつつ、しかも現代の私たちにも理解できるように分りやすく訳している。解説もまた的確である。その学究の深さと厚みには感嘆するばかりだ。この中で1冊読むなら、金谷訳だろう。また、小川訳は、まだ馬王堆の帛書(1973年出土)が発見される前の著作であり、他の訳注はすべて帛書(甲本、乙本がある)を参照している。
老子』については、稿を改めたいが、読むたびにその深い洞察力と巨視的な世界の掴み方には感嘆するばかりである。しかも恐るべき韜晦術の巨星で、その中に処世はの知恵がびっしりと詰まっている。中国の古典では、『論語』『孫子』よりも心魅かれる。



 たった今『医療詐欺』上昌広著(講談社+α新書、'14.7.22)を読み終えたが、次に読むために購入しておいた『精神医療ダークサイド』佐藤光展著(講談社現代新書、'13.12.20)、そして現在セブンネットで注文中の『<正常>を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告』アレン・フランセス著(講談社、'13.10.2)を併せ読んでみたい。(精神科病院で勤務する身にとって、みな極めて興味深いテーマだ。)