2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「あなたに似た人 新訳版1」田口俊樹訳(ハヤカワ文庫、'13.5.10)―芳醇なる味わい

以前、田村隆一の訳で読んだ記憶があるが、とりわけ印象に残っているのは何といっても<南から来た男>である。(ロアルド・ダールの他の作品では、『キス・キス』の中の、ヒトラーの生誕を扱った<誕生と破局>も強烈な印象が残っている。) あらためてじっ…

「経済学の犯罪」佐伯啓思著(講談社現代新書、'12.8.20)−「セイの法則」について考える

本書を通底している著者の一貫した態度は、資産バブル崩壊後、デフレに陥っていた日本でとられた、本来インフレ対策であるはずの「新自由主義政策」(小泉構造改革など)への徹底した批判、嫌悪である。 著者の考え方は、本書でも引用されているように、カー…