2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「入門!論理学」野矢茂樹著(中公新書、'06.9.25)−言葉の使用法の逸脱を退ける厳密さを学ぶ

記号を一切使わずに、論理学の入門書を書くなどは、相当の離れ業と言っていいだろう。ウィトゲンシュタインでお馴染みの野矢茂樹の、他に類を見ない力技であり、恐れ入ると言うしかない。 本書は「入門!・・」とうたっているが、実に手ごわい入門書であり、…

「永遠の吉本隆明」橋爪大三郎著(洋泉社、'03.11.21)−吉本隆明は、高踏的な知的ディレッタントだ

前回に引き続いて、吉本隆明についてもう少し述べる。 ところで、橋爪大三郎の『永遠の吉本隆明』を読んで悲しくなった。橋爪ともあろう碩学が、しどろもどろで吉本の弁護に終始している。橋爪は吉本より二回り(24歳)若く、ちょうど学生時代に吉本現象に遭…

『吉本隆明という「共同幻想」』呉智英著(筑摩書房、'12.12.10)― アンチテーゼと虚仮威しの詩人、吉本隆明

呉智英は、この書の序章で、鹿島茂の著書から次のような引用を行っている。 「吉本隆明の偉さというのは、ある一つの世代、具体的にいうと1960年から1970年までに青春を送った世代でないと実感できないということだよ。」 この期間は、私自身にとって大学2年…