2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「クリーピー」前川裕著(光文社、'12.2.20)後半は自分の仕掛けた理屈に自縄自縛となって,駄作になった傑作

一気に読ませる力はある。ただし、文章が、人間心理を抜かりなく丹念に表現しようとして、やや理屈っぽくなっている。いかにも大学教授の作者らしい。 ヒントにしたのは、多分<世田谷一家殺人事件>、<坂本弁護士殺人事件>といった現実の事件や、映画では…

映画「死の接吻」と「太陽に向かって走れ」を見る。 VIVA!リチャード・ウィドマーク

今回は読書からは少し横道にそれて、映画の話である。 3月に埼玉県から都内に引っ越した際、1000本近くあったビデオ(おもに映画や音楽のライブを主にNHK・BS放送などから録画したもの)をすべて処分した。引っ越し先のマンションが狭いことと、録画媒体とし…

ちょっと一服(4)「哲学者の密室」−15年前の感想のお粗末?

引っ越しの荷物整理をしているときに、古いノートブックが何冊か出てきた中に読書感想を記したものがあり、笠井潔の「哲学者の密室」の読後メモを見つけた。この本読んだ日付は平成9年11月28〜29日と記入してあり、この本がカッパ・ノベルスから出版されたの…

「闇先案内人」大沢在昌著(文藝春秋、H.13.9.15)−これもゴミか?

ギャビン・ライアルの「深夜プラス1」に似た設定。お定まりの登場人物とお定まりの展開。警察、ヤクザ、三国人、「夜逃げ屋本舗」や「トランスポーター」を思わせる職業の主人公。(もっとも、後者が日本で上映されたのは平成15年だから、この大沢作品のアイ…