「食べない人は病気にならない」 山田豊文著(幻冬舎、'11.7.10) を読んで健康法を考える

幻冬舎は、時代感覚の鋭い出版社である。前回の朝倉慶氏の著作も、今回の山田豊文氏の著作も同社の最近の出版物であり、また、これから読もうと思って机に積んでおいた、「ベイジン」上、下(真山仁作)は幻冬舎文庫である。タイトルの付け方も上手で、みな、いかにも読みたいという気にさせる。これは時代の流れの巧妙な見極め力、つまり時代の要請への洞察力に優れた出版社である証拠だ。

 昨日(11日)勤務を終えて東村山駅前の<あゆみBOOKS>へ立ち寄り標記の本を購入した。実は土曜日の日本経済新聞の広告で見つけ、買い求めようと捜していたのだ。(前回の朝倉氏の書も同じ新聞の広告で見て、その日のうちに、新所沢のパルコの<LIBRO>で買ったものだ。)
 そのあと東村山駅近くの<はや川>という旨い蕎麦屋でビールを飲んだり蕎麦を待つうちにあらかた読み終えてしまった。(速読術を駆使?)その気になれば1時間ほどで内容をさらってしまえる種類の本である。

 私は昔から、座禅や呼吸法や食事療法などの健康法に関心があり、この著書にも出てくる白隠の「夜船閑話」も読んでいる。他にも「玄米生食法」や「聖書の食養法」(後藤美基、柏樹社、S.56.1.10)、あるいは「釈尊の呼吸法」(村木弘昌、柏樹社、’81.12.15)、「座禅のすすめ」(禅文化研究所)、「座禅五十年」(彌生書房、大山澄太、’77.9.5)、「我が座禅修行記」(横尾忠則講談社、S.53.5.8)などなど。これらはみな真剣に読みふけったものである。

 少し軽い本では、「養生の実技」(五木寛之角川oneテーマ21、’04.12.10)、「原始人健康学」(藤田紘一郎、新潮選書、’97.6.10)etc.
 これらは本棚の見えるところにあるものだけであり、本棚の奥や積み上げた段ボール箱の中にはまだあるはずだ。ことほど左様にこの手の本を読み続けてきているのである。(ただし、実行したかどうかとなると、長続きしないか、書物での理解だけで終わっている。)

 ところで、6月12放映されたNHKスペシャルで「あなたの寿命は延ばせる〜発見!長寿遺伝子!」を見て、影響され易い私は、カロリーを30%減らせばサーチュインという長寿遺伝子がスイッチ・オンされるという驚くべき映像を見て、直ちにカロリー制限を始めた。7月10日に近くの「湯楽の里」という温泉へ行って体重を測ったところ1.8キロほど体重が落ちていた。(81.5キロ→79.7キロ、万歳!)また、間違いなく疲れにくくなったことが実感できたし、日中でも眠気が襲わなくなった。また夜もよく眠れ、夜中に以前ほど頻繁には目が覚めないようになった。(決して気のせいではない!)サーチュイン遺伝子についてはこの本でも触れられているし、NHKの放映の内容については、7月2日号の「週刊現代」に詳しく載っている。

 というような訳で、この種の本は手を変え品を変え、衣替えして次々と出版されてくる。勝負は編集者の腕である。この本も、さすがに編集巧者の幻冬舎らしく、<はしがき>には東日本大地震に関連付ける記述をもってきている。<抗被爆の三重バリア>という概念を持ち出したところがこの本の目を引くところであり、キモである。

 内容は、他には特に目新しいものはないが、健康法のおさらいには役立つ。千円だから高くはない。まあ、千五百円なら買わなかったかも知れない。値段の付け方も上手いものだ。