2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「皇帝のかぎ煙草入れ」ジョン・ディクスン・カー、駒井雅子訳(創元推理文庫、’12.5.20)

前回偉そうなことを述べたにもかかわらず、またカーの作品を取り上げることになってしまった。 というより、何気なく買い置きしておいたこの作品の新訳を手に取ったのが、つい面白さのあまり、一挙に読み終えてしまったというのが事実だ。前回読んだ「曲がっ…

「曲がった蝶番」ジョン・ディクスン・カー、三角和代訳(創元推理文庫、'12.12.21)―ストーリーテラーの面目躍如、だが・・・・

久しぶりに本格ミステリの代表的作品を読んでみた。本格ミステリは大学時代以来ほとんど読んでいない。その頃はヴァン・ダインが一番の贔屓作家で、ウィルキー・コリンズ、クロフツ、フィルポッツ、ルルー、ベントリー、クイーン、クリスティなども一通り読…

「ナイン・テイラーズ」ドロシー・L・セイヤーズ(浅羽莢子訳:創元推理文庫、'98.2.27)−浅羽莢子と平井呈一の訳で読んでみる・・・ついでにレ・ファニュの「緑茶」についても

ずーっと本棚の隅で眠っていた名のみ有名なこの作品(創元推理文庫、浅羽莢子訳)を読み始めたが、この翻訳には難渋した。訳文に正確を期そうと、英語の構文に忠実に訳したような感じがある。そのためか、表現が回りくどくてイメージが掴みにくく、読んでい…