2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「頼れない国でどう生きようか」加藤嘉一、古市憲寿著(PHP新書、'12.11.1)−絶句!頼れない国で生きる頼れない若者たち

戦後68年も経つとこのような若者が輩出されてくるのかと、思わず嘆息してしまう。 要するに彼らが語るのは、国際化した現代社会における自己保身の方法論に尽きる。ここにあるのは、それと自覚しないままに垂れ流す自慢話と、彼らのどうでもいい私生活である…

「64」横山秀夫著(文芸春秋、'12.10.25)―周到!

横山秀夫は『半落ち』でのヒューマニズムに傾きすぎたエンディングがどうも肌に合わず、私の中で評価が揺らぎ、私が勝手にランク付けをしていた現役ミステリー系の書き手のトップ3(スリー)の地位を滑り落ちた。 ちなみにトップの3人は、池井戸潤、貴志祐…

「ホフマンスタールとその時代」ヘルマン・ブロッホ著(菊盛英夫訳:筑摩叢書、'71.5.25)−世紀末ウィーンへの憧れ(1)

世紀末ウィーンとは何と甘美な響きであろう。ウィーンで生まれたこの時代に開花した豊穣で爛熟した文化のアウトプット(知的生産物)の数々は、人類に計り知れない貢献をしている。いったいどんな時代であったのだろう。 そもそも、世紀末とはいつからいつま…