2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧
この作品の主人公がまとっている狂気の正体は一体何であろう。著者にダブらせて<ナルコレプシー>と言いたいところだが、これは違うだろう。主人公が見る幻覚は、この病気特有の入眠時幻覚などという生やさしいものではない。 また、この小説で唯一、医師の…
手元に2冊の文庫版「怪しい来客簿」がある。一つは角川文庫版で、昭和54年5月30日再版(写真左)である。もう一つは文春文庫、1996年(平成8年)7月30日第5刷(写真右)である。解説はともに長部日出雄氏だが、後者には色川氏が亡くなった後に書かれた付記が…
この小説の帯裏(上巻)には、<本書はアメリカ腐敗の現状を描き切った小説>という解説の杉江松恋氏の言葉が載っている。 もっとも、アメリカの政・官・財の癒着と腐敗はつとに知られたことで目新しいことではない。遥か昔、アイゼンハワー大統領が辞任する…